想い出深く

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 まもなく3回目の成人式である。これを人は還暦という。思えば、大人へのスタートである20歳の成人式は最悪であった。そこから現在に至ると考えれば、その後の人生を表していたともいえる。
 当時、晴れ着の着付けをしてもらうために午前6時に美容室に入ったものの、出来上がったのは12時過ぎであった。当然式典も終了し記念品の授与もない(市役所の人はもういなかったので受付さえ終了していた)。肌襦袢で数時間待たされたため、具合が悪くなり、高熱が出はじめた(インフルエンザであったと思われる)。式典後に予約していた写真館には這う這うの体でたどり着いて写真を撮ってもらったのだが、それからどうやって帰宅したのか全然覚えていない。
 数日後出来上がった写真は、前かがみで具合が悪そうで目はうつろ、赤ら顔のヒドイ出来であった。なんで、着付けがそんなに遅くなったのかというと、どんどん後回しにされたからである。美容室が友人の知り合いのところであったためか、身内扱いされて後回しになったのだろう。当然友人も式典には間に合わなかった。
 そこから人生が転落したように思う。就職は一言で語りつくせぬ本人無視のすったもんだがあって、うまくいかず、卒業後フリーターを8年づつけることになるのだ。暗雲が垂れ込める前兆が成人式であったように思う。
 というわけで還暦であるが、やはり具合が悪く寝て暮らしそうである。再び暗雲が垂れ込めるのであろうか。いやいや少しは学んだはずだと思っている。

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