マイケル・ダグラスが映画のセリフで言う。「この前まで17歳だったのに、あっという間に70歳の老人になってしまった」と。30代の女性との結婚を中止してホテルを去ろうとするときの言葉だ。周りには3人の同級生たちがいる。同じように爺さんである。
同じ時代を過ごし、ずっと友達でいても、その後の人生は人それぞれに異なっている。当たり前だけど。若い時のようにバカをやっても、それぞれの本来いるべき場所へ「じゃあ、またな」と帰っていく。そしてしょっちゅう会うわけでもない。
シニアになるとそういう付き合い方が多くなる。そういえばあいつどうしているのかなと思って連絡が取れるのはまだいいとして、やがてどうしたのかわからなくなる人もいる。
ある一時期だけキラキラ輝いて友人だった人がどれほどいなくなったか。そう考えると自分が薄情に思える。たぶん薄情なのだろう。スタンドバイミーという映画のように、確かにあの夏、あいつがいたという記憶だけである。
記憶の中の友人はいつまでも若くやんちゃである。風の便りに訃報が届いても別の次元のようで繋がらない。いなくなったという事実の方が嘘くさく、一緒に過ごしたあの時のままである。
そういう記憶がアップデートされないのがシニアなのかもしれない。
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