繁華街の目的地までドアツードアで30分だった生活が、今や待ち時間も入れて2時間である。しかもその2時間には山を越えるというハンデまでついている。
何も考えずに出かけて、来た電車に乗って適当に帰ってくるというのは、次から次へと電車がくるからできる話で、自分の都合に電車をあわせていたということにもなる。今や、電車やバスの都合に合わせる生活である。一人で出かけたとしても、何時のバスに乗って何時のバスで帰るという計画を立てておかねばならない。
もともとぶらぶらするのが好きな人間である。とりとめのない時間が自分にとっては大切で、「大した用もないのに」という出かけ方で、ほうぼう出歩き、コーヒーを飲んでくるだけということもあった。いわば電車に乗って散歩にでかけるようなものである。平積みの本を手に取ったり、洋服や靴を買うわけでもなく見たり、プレゼントを探すわけでもないのに○○さんにあげたい品物だなとか、こういう便利なものがあるのか、などと独り言ちながらぶらぶらするのである。たまに気に入れば「お買い上げ」となる。
散歩みたいなものなら、今でもできるだろうという人もいるが、それは田舎を知らない人である。早朝に健康のため一心不乱に歩いている人や犬の散歩の人はいても、ダラダラと散歩をしている人はいない(不審がられる、と思う)。 あっちこっちのお店をピットインしながらの「そぞろ歩き」が無性に懐かしいのであーる。
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