ストレイキャッツの領分

　近所に野良猫がいる。もしかしたら飼い猫かもしれないが、自由奔放にふるまっているから見分けがつかない。
　よく当方の敷地内ギリギリをうろうろしているのが３匹いる。黒白と灰色と茶サバであるが、面構えといい、灰色がボス格のような気がする。以前、茶サバと灰色の対決を見た。柵の上で二匹がにらみ合い、威嚇していたが、折れたのは茶サバだった。黒白はこんなときには絶対に姿を現さない。黒白は要領がいい。
　しかし、よく当方の車庫の上で昼寝をしている。今の時期は場所を移動しながら日向ぼっこをしている。車庫の上にいるときにはふてぶてしい。追い立てられることがないのを知っているのである。小ばかにしたように頭を持ち上げて、こちらをチラ見するだけで、ぜんぜん逃げようとしない。ここで灰色と茶サバをみたことがないから、黒白の縄張りなのかもしれない。
　先日、庭で黒白に出くわした。L字の出会い頭でお互いに気づかなかったのである。ぶつかりそうになる一歩手前で、黒白は後ろに飛びのいた。素晴らしい瞬発力であるが、逃げずに飛びのいた先でこちらを見ていた。ふてぶてしい奴である。
　昨日、隣の家の駐車場を黒白が歩いていた。家の御主人が追っ払っていたが、黒白はちょっとだけ小走りして振り返り、そしてゆっくり歩きながら去っていた。なんともふてぶてしい奴である。