あやしい奴

　相変わらず運転は下手の極みなので、市営駐車場で練習している。ほとんどの車が便利な場所に駐車しているので、端っこの人が来ないようなところで練習をしている。
　そんな離れた場所でもときどき車がやってきて駐車するのは、休憩にやってくる車がいるからである。初心者マークをつけてグルグル回っている奴は練習以外の何者でもないので、呆れられているに違いない。
　市営なので市の関係者の車や植え込みの剪定業者なども出入りしている。グルグル運転してちっともうまくならないが休憩していたら、市の関係者と思われる人が近づいてきた。「怒られるかな」と思ったが、私の車の近くを横断しただけであった。ちらりとこちらを見られたので、会釈すると、向こうもニタリと笑いながら会釈していった。
　同じ場所で右バック、左バック、左線状に乗る、右線状に平行に進む、とバカのような練習をしている私をほっといてくれる人々は温かくありがたいのであーる。