書籍が売れているようで売れていないらしい。いや売れているけれど売れていないといった方が正しいか。売れる本の種類が変わっているらしい。
本を読む人は一定数はいるのだが、買い求めるものが小説より評論より実用書が多いらしい。確かに自分もそれに当てはまる。つまり手っ取り早く知識を身に着けたいということだ。メソッドが書き記してあるようなものに目が行く。
購入している自分を例にとるとよくわかるのだが、とりあえず読んで「ふーん。なるほど」と思っても、その知識は持続しない。おそらくそれ自体を知識とは呼べないだろう。覚えていないし。時短にはいいのだが、本当の知識が身に付くことはない。そして知性はもっと身に付かないだろう。
大好きな作家のひとりである塩野七生氏は、ダイレクトに役には立たないような作品に「精神のインフラ」があるといっている。インフラが完備していないところに家を建てたところで機能しない。建てたはずの知識の家はまやかしでしかない。
もっと悪いことに実用書は積読になり、さらに悪いことに簡単にググって知ったような気になっている自分がいる。 だから理解していないすぐに忘れる自分にため息が出たりする。あーあ。
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