身を置くこと

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 12月でフラワーアレンジメントをやめた。20年近くに及ぶ長い長い歳月であった。才能のある人であればとっくに開花しているだろう。私の場合やめる理由がないまま、続けただけだ。
 考えてみれば、身体も心もボロボロの頃、眠れず、食べれず、胃潰瘍だらけになって、何のために生きているのかわからないときにもやめなかった。お花が好きだったからではない。朝起きて、支度して、電車に乗り、先生の説明を聞いて淡々と生ける。そのルーティンが自分を整えたのである。
 花を生けながら、テーマに沿って色でまとめたり、形でまとめたりしながらアレンジを考える。出来上がりはお世辞にもうまいとはいえない。ただ「自分」が出ている。だから発見するのだ。「私、こんなやつだ」と。そうやってしんどい自分を降ろしてきたように思う。私はお花の先生にはなれないし、なることもないだろう。長いレッスンでいえることは、優しい言葉や慰めも癒しになるが、自分自身で心を立て直す場所を得ていたことだ。それは苦手なことがいい。「できない」なりに工夫し考えることで、いっとき煩わしい現実から解放される。そんな場所から卒業した。

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