黒歴史の証拠隠滅

 電動式シュレッダーを買って調子に乗っている。調子づいているついでに、闇に葬ることにしたのは成績表である。昔風に言うなら「通信簿」という奴である。
 実家の改装の時に出てきたのである。親がまとめて(雑多に)収納していたものであるが、とりあえず自分のものをピックアップした。そこには小学生から高校生までの私の成績表があった。面倒なのは中学生時代の綴り式の通信簿で学科ごとに1枚あって、自己反省を書く欄もあるから分厚い。綴りひもを取ってバラバラにしたのだが、当時の稚拙な文字と文章で自己反省が、科目ごと、学期ごと、テストごとにある。今読んでみると「こいつやる気ないな」というのがバレバレである。一応反省して来期に臨んでいるのだが、反省の改善なく、平行線上の成績である。まあ落ちていないだけいい。
 担任のコメントを読むと1年生から3年生まで同じようなことが書かれているので、全く進歩のない人間というか、よく言えば、そもそもそれが「持ち味」なのではないかと思う。ソフトに書いてあっても言っていることは「協調性がない」「上昇志向がない」「積極性がない」などということで、自ら率先してやらないことが書かれていた。
 今も大してかわらない。その当時は、みんなが率先して意見を言って参加すればやかましいだけではないかと思っていた。当時クラスにはカラーのはっきりした奴らが多く、自由気ままにやっていたし、すこぶる頭のいいやつもいたので、その人たちがまとめてくれる波に乗ればよかったのである。ぐーたらな幸せな中学生時代を送っている。だから成績もよくなくて中の中ぐらいを低空飛行していた。
 高校生になると、自己反省やコメント欄が消え、数字だけが成績を物語っているのでいたってシンプルである。
 で、それらを、シュレッダーにかけた。黄色い紙が埃を立てて細断されていくのを見ていると「お疲れさまでした」という気になった。残しておくものは何もない。誇れるものは何もないからである。ついでに出てきた小学校、中学校の卒業証書はとりあえず他の免許や賞状といっしょに仕舞っておくことにした。シュレッダーは紙の粉で白くなったが、まだまだ切り刻みまっせといっているように見えた。

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