無駄な隙間

　新聞に出ていたが、世の中は倍速社会だそうだ。動画も倍速で内容を追って必要なところだけ、通常の速度にするらしい。無駄なところは早送りというわけだ。
　時間は有限であるから、ダラダラしている場合ではないのだろう。だからといって縮めた時間を有効に使えるかどうかはわからない。何せ情報過多なので、その隙間にも倍速で得た知識が入り込むのだろう。合理的かもしれないが、あらすじだけ知っている小説のように、何となく薄っぺらく思えてしまう。
　片付けのプロによれば、断捨離してもクローゼットを満っ満ちにしてはいけないそうである。その人の部屋と頭の中が同じだということらしいから、隙間がなければ新しいアイディアも出会いも入って来ないらしい。 合理的であることに異論を唱えるつもりはないが、一見無駄に見える手間にこそ、面白いことが潜んでいると思うのだけれどね。