悪魔のささやきが現れる時

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 例にもれず、年を取ると、病気、年金、そして墓の話になる。自分もその年齢になったなあと実感している。他の話をしていたはずなのに、終着はその3つのどれかになっているから、ご同輩も同じようなことを考えているらしい。
 昔、「お墓がない」というような映画があった気がするが、観てはいないが、まさにタイトル通りの状況である。友人によっては「ダンナと同じ一族の墓はいやだ」という人もいるが、まあ行先が決まっているだけでも良しとしないかと思っている。
 別段、お墓が欲しいわけではない。自分が死んだあとに残された人に迷惑をかけたくないと思うだけだ。火葬したもののお骨どうするよ、となった場合が気の毒に思うからだ。樹木葬も人気らしいが、あまり場所がないと聞く。個人的希望を言うならば、永代供養ではなく、3年間だけ保管してあとは捨てるというような納骨堂が希望である。そんなものがあるかどうか知らないが、捨てたとしても化けて出たりはしない。魂の修行が足りないとまた下界にいくらしいので、たぶん次の生まれ変わりに向けて忙しい。
 人に迷惑をかけたくないから、最後のことはちゃんと決めておこうという殊勝な心がけが、時々いたずらに崩れる。最後ぐらい迷惑かけてみるかと、にんまりしたりするのである。

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