お彼岸なので

 とりあえず、といってはいけないかもしれないが、先祖供養に行ってきた。本来ならば墓参であろうが、納骨堂である。
 その寺に行くためには峠越えしなければならない。ヘアピンカーブもあるので、私のようなヘタクソ運転手は天気がいい日しかお参りできない。登りより下りが怖いので、ギアを落としてエンジンブレーキで降りていく。なるべくブレーキは踏まない。今の車はどうか知らないが、自動車学校でブレーキの焼ききれる現象を防ぐためにあまりブレーキは踏むなと習った。昔の人間であるゆえにその辺は律儀に守る。
 お墓ならば草抜きや墓石磨きをやるのだろうが、納骨堂は開けて中を簡単に掃除する。親戚の骨壺が幾つも入っているので「はい、おばちゃん、寄せるよー、はいおじちゃん、たまに段変わろうか」などとブツブツ言いながら掃除する。古い供物を下げて、新しいものを置く。私が持って行ったのはコーヒーパックである。お酒やお菓子が上がっているが、まあ時にはコーヒーで一服どうですかね、という具合である。
 同じ納骨堂の別棟に知人も入っていらっしゃるので、そちらにも行ってみた。そこのおば様には親戚でもないのに大変可愛がられた。その方に子供がいなかったわけではない。美形の兄妹がいたので、なぜ自分が可愛がられたのか謎である。芍薬園やショッピングに連れて行ってもらった記憶があり、高級なお洋服を買ってもらったこともある。
 過去帳を開いて、おば様のページを出してみると、享年61歳であった。今の私より若いのである。おしゃれで快活な人だった。で、ちょっぴり辛口なのに情に厚かった。 
 「おばちゃんの年、越しましたよ」大好きだったおば様は彼岸で笑っているかもしれない。

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