Stranger on the street

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 春寒の中、桜が散り始めている。曇りがちな冷たい風の吹く中、日頃お世話になっている人とランチを食べた後、ぶらぶらと目的もなく歩いた。
 老舗和菓子屋でピットインしてコーヒーと焼き立てのきんつばを友人の奢り(*^^*)で食べた。冷えた体には余計に美味しく感じる。焼き立てのきんつばを食べたのは初めてだ。
 きんつばを焼いているのを2人で見とれていたら、職人さんが気さくにいろいろとお話ししてくれた。人懐っこいおじさんである。しかしこのおじさんは、歌舞伎と和菓子のコラボの大会でグランプリを受賞された方だった。店の一角で一般客相手に焼いておられるのが大先生とは思わないだろう。
 ぶらぶらして時間に追われないとこうした偶然の出会いがある。訪れる先を計画的に無駄なく周ることにも醍醐味はあるのだが、だらだらと歩いていると見落としてしまいがちな発見もある。こんな画廊があるとか、カフェがあるとか、神社があるとか…、営業しているのか廃業しているのかわからない店や変わった建物など、「ふーん」と大して感動も期待もしないまま歩き回る。しかしストレンジャーの心地よさがある。
 時間に追われた生活をしている現代人にとって、追われることのない時間がやっぱり必要なのだと妙に納得したりする。

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