先日、実家で片づけをしていた時、高校生最後の定期試験の答案用紙が出てきた。わら半紙で、ワープロなどない時代の先生の直筆問題である。最後の試験であるから取っておいたのか、なかなか点数がよろしいのでこれ見よがしに取っていたのか、まあ、その両方であろう。わら半紙は真茶色で風化寸前である。
今ではちんぷんかんぷんの関数の問題を解き、今では読めない漢字を書いて、今では書けない英語のスペルをつづり、今では理解不能の金融体制について書いている。
あの頃、結構できてたじゃん、などと思っていたら、学校図書館の館報に載った読書感想文も出てきた。これで新聞社の特選の賞をもらったのだ。しかし後ろめたい事実がある。
夏休みの宿題に出ていた感想文をすっかり忘れていたのだ。休みの最終日に「1時間以内で読める純文学」を姉に聞いて家にある文学全集から選び、5枚の原稿用紙が課題だったので、裏紙を四分割しそれぞれ起承転結でとりあえず思いつく文章を書いてパズルのように組み立てて書き繋ぎ、読書を含めて3時間で仕上げた泥縄式感想文である。窮鼠猫を嚙むで、何とかなったぞと提出したら意外なことになったのである。わからんもんである。
感想文の内容も忘れていて、今読み返すと「げー」っていう感じであるが、答案用紙も含めて、まあそこに40年前の青い自分が確かにいたのである。今となっては知らない誰かのようでもあるが。
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