北の方ではこれから満開を迎えるところもあるが、当方の住んでいる地域では満開の桜が終わろうとしている。ハラハラと散っていくのもまた美しい。
珍しく桜が嫌いだという人がいた。よくよく聞いてみると花粉症の季節と重なり重度の花粉症であるこの人には花見どころではないということらしい。花粉症は気の毒であるが、それと桜自体を嫌いになることとは別だと思う。ほぼほぼ桜を憎むように話されるので、花見に出かけられる人へのジェラシーも感じられる。そして桜がきれいなどとも思わない、あの色も嫌いだという。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の世界の人に、これ以上話を付き合うこともないので、「へえ、そうですか」でやりすごす。まあ、人それぞれですから。
歩道を歩いていると、桜の花びらが落ちていた。周りを見渡しても桜の木は見当たらないのに一体どこから来たのか不思議である。そして次に通ったときには消えていた。どこから来てどこへ行くのか。
家に帰ってきたらスニーカーの紐の間に花びらが一枚くっついていた。
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