鏡の反転

 介護をしていると、年々弱っていく親を目の当たりにするが、時々ふと思うことがある。それは60代や70代の時の親はどんな感じだったか、ということである。当然、今のように弱者扱いはしていなかったし、普通に会話もできていた。そして自分自身、親に対して態度LLというか、傲慢にはなっていなかったし、必要以上にいたわることもなかった。
 どこから、見守り目線に自分が変わったのかと考えてみれば80代からである。あと20年もすれば、自分もその域に達するのである。行動も思考も鈍いと思われる側になるのだ。
 歳月の重みは、40から60歳になる20年とは異なっている。「もう!」とか「あーあ」とか言われる世代になるのである。
 何よりも嫌なのは、人から面倒がられる存在になることである。それが分かっていながら老親に優しく出来ない自分にイラつくのである。介護は自分の心の持ちように大きく左右されるし、自分の内面を嫌でも見ることになる。
 そして今日も「あーあ」ということがあった。態度にも出さず、口にも出さないでストレスも溜めない方法はまだ編み出せないが、いつまでもイラつく側にいないことも分かっている。
 人は自分を映す鏡なのだと思うと文句の一つも減るかもしれない。

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