ものの怨念

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 本日から台所のリフォーム工事が始まった。前日には台所を空にしてテーブルや椅子を居間に運んでなんとか老親の居場所を作った。
 工事では天袋を解体し、古いシンクをバラバラにして外に出し、食品ストッカーやガスレンジ、重量物の金型ラックなどの粗大ごみも外に出してもらった。なんとか工事に入れるようになったと思ったら甘かった。床下収納である。ここは特に改修しないということでそのままにしていたのだが、水道工事の人が床に潜るというので、床下収納を外すことになった。
 開けてびっくり玉手箱、ではなく、詰め込むだけ詰め込んだ大皿、客用茶碗、鍋、土鍋、鉄板、保存瓶などで、すべて重いものばかりがぎっしり詰まっている。どこかに収納するのが重くて下に入れていたらしい。ようするに詰めた本人も忘れているくらい使わないものである。
 重すぎるのでなかなか水道工事の人も床下収納ラックごと持ち上げられない。なんとか大人2人掛かりで引き上げた。とりあえず脇に除けたのだが、またこれをそのまま入れるわけにはいかない。もし収納ラックが割れたら、直に配管などが通っている床下だけに、虫や埃などいろんなものが入ってくる。
 工事の人が昼休みの間、可燃物、不燃物、資源ごみに分けて袋に突っ込み、ラック内のゴミを吸い取って片付けた。指先が痺れて感覚がなくなってもこの時間内になんとかしておかなければとわれながら物凄いスピードであった。その甲斐があって、車庫にゴミを運び出したと同時に工事の人が戻って来た。
 もったいないといって捨てずに取っておく親の世代であるが、忘れ去られた物は決して使われることはない。物にも魂が宿るとしたら、入れっぱなしにされてカビや虫食いなどにあった物が、家の幸福を妨げても文句など言えないと思っている。

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