暗躍する曲者

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 夏といえば、虫の季節でもある。庭にセミの抜け殻がぼろぼろ何個も転がっているところを見ると、そろそろ梅雨も終わりであろうか。
 出たのは家の外ではない。座敷にぴょんぴょん跳ねる虫が出たのである。眼鏡をかけていなかったので何者かはわからない。飛び跳ね方はコオロギのようであるが、若干、色が薄く、やや小さめである。
 「曲者!」とばかり、新聞紙を丸めて後を追ったが、こざかしくも逃がしてしまった。ぴょんぴょん飛んで、床の間の方へ逃げたが、逃げた先が悪い。床の間は、人形や壺、花台、賞状額、茶壷の飾りや打ち出の小槌の飾り物など、どうしたらこういうことになるのかというくらいにラビリンス状態なのである。
 曲者が出るのは夜である。今から床の間のものを外して掃除とはいかない。翌朝が勝負とみて電子蚊取り線香包囲網で床の間から動けないようにした。
 思った通り、奴は賞状額の後ろに張り付いていた。一撃目は逃がしたが、やや弱っていると見えて二撃目で仕留めた。ばんばんたたいたので、何者かわからなくなってしまった。(^^;)
 仕方がないので、床の間ラビリンスをかたづけることにしたのだが、この話は後日に。

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