クリムゾン・キング宮殿の住人

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 テレビをつけっぱなしにしていたら歌番組になっていた。そこで聞いたこともない今どきの歌が流れていた。どうやら流行っているらしいが知らなかった。ご丁寧に字幕が出てくるので何と歌っているのかがわかる。しかしちっとも心に入ってこないのである。それは自分が古いタイプの人間だからかとは思ったもののちょっと待て、である。
 風変わりなメロディや曲調はさほど気にならない。それは当方がハードロックやプログレ、パンクやヘビメタやサイケデリックで「scrap and build」を繰り返してきた音楽の変遷があるからで、羽のついた帽子を被って、21世紀の精神異常者がタルカスで撃ちまくり、豚となって工場の上空を飛んできた(何のことかわかる人は数少ないであろうが)経緯からすると、曲調が屈折していても大したことではないのである。
 そうなると歌詞の方かと考えた。中島みゆき氏や小田和正氏、松任谷由実氏や、リバイバルで歌われているナイアガラトライアングルと今のアーティストとどこが違うのだとどうでもいいことを考えてみた。そうすると、歌の背後にストーリーが見えるかどうかが大きい。ミシンで例えるなら「直線縫い、ジグザグ縫い、時々返し縫い」みたいに時間軸の情景が見えるのが先ほどの方々の歌で、今の若手は同じところに針を何度も挿して動かない状態のように見える。「そこ」だけに言及しているのである。すべての歌がそうだといっているのではないが、その傾向にある。奥行きがない分、平面的に聞こえるのである。それは2次元的でまさにデジタルの世界観だ。
 というわけで、自分がデジタルに弱い理由も同時に露呈したと勝手に納得している。(^^;)

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