還暦を超えて

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 早生まれなので、友人たちが還暦を迎えている中で遅ればせながら先月仲間入りした。50歳になったときには、40代とそんなに変わらないなあと思ったものである。しかし50にプラス1、プラス2と加わっていくたびに、やはり50代は40代と全然違うのだと思い知ったのであるが、それと同じことが60代でも起こるのであろう。今は、気持ちは50代のままであるから(厚かましいと思うだろうが、そんなものです)、ピンとこないのである。
 そんな中、定年退職と還暦を祝ってくれる方々には本当に感謝している。よくもまあ、こんな変人に付き合ってくれたものだとこちらが感心する。しかし、共に同じ時代を過ごし、同じ社会情勢の中で揉まれた仲間としてかけがえのない存在である。そして「あの頃君は若かった」である。バカな話ができるのもお互いの苦楽の履歴を知っているからである。
 過去の話をするときには、その当時の若かりし同僚や先輩や友が、今の本人たちに憑依して、屈託のない笑顔といたずらっ子の表情でわあわあと弾ける。ひとまず今の自分はちょっと脇に除けといて、その頃の自分にバックデイトするのである。
 しかし別れの時には現在の自分に戻り、時の流れと地に着く足を再確認する。けれど同志?であることには違いない。縁あってともに同じ時代に今もいるのである。そのことがとても心強いと思っている。

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