記憶に残る品々

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 退職の記念に職場の皆さんから商品券を頂いており、何か形にしておきたいと思いつつ、何がいいか考えあぐねていた。
 仕舞い込まずに普通に使えるものがいいなと思っていたので、トートバッグに行きついた。折角、還暦ということもあり「赤いトートバッグ」を購入することにした。バケツ型で本も日傘もでかい財布も入る丈夫なバッグがあったので即決した。赤といっても明るい朱色である。やはり夏の赤は明るいのである。
 見るたびに頂いたことを思い出すだろう。私は物持ちが結構いいのを自負している。メンテナンスも怠らないし、人からの頂き物となると誰からということもしっかり記憶している。今持ち物の中で古いのは、小学四年生の時にもらったブローチである。本革製品なので形も崩れていないし、壊れてもいない。
 そんなことで「もの」には執着する方である。見回してみると結構古いものに囲まれていて、残っているのは人からの頂き物ばかりである。裁縫箱も爪切りセットももう35年以上前のもので買い替えることもなく現役で使っているのは、丈夫で使い勝手がいいからである。
 誰かがチョイスしてくれたものはきっといろいろ考えて贈ってくれたものだろうと、長年の品々に感謝している。

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