自己都合ではなく

　先日10年ぶりに偶然、同級生と再会した。考えてみれば小中高と同じ学校であったが、特別に仲が良かったわけではない。一緒に遊んだのは小学生の頃だったろうか。その彼女と高校卒業後に偶然アルバイト先で会ったのは20代の時である。その頃から年賀状友達として復活した。たまに帰省した時に会うことはあったが、それからかなりの年月が経っていたところ、またしても偶然会ったのである。
　彼女はずっと地元で暮らしているので、地元通でもある。ここはいろいろな情報を教えてもらうのにはもってこいであるので、いつかご飯を食べに行こうね、と携帯番号を交換した。
　先日SMSが来て、お母さんが大腿骨骨折され手術することになったという連絡があった。ああ、ブルータスお前もか、で同世代は親の怪我や手術である日突然、何かと大変になる。彼女とのご飯は先延ばしになるだろうが、お互い様である。
　用事をキャンセルするのは自己都合というより、老親都合が増えてくる。日々振り回されることがどんどん多くなって親優先になっていくが、それでも「親が生きていることはありがたいことだから」と介護をしている友人たちは言う。そして「自分たちもああやって老いていくんだろうなあ」と続くのである。