熱中症と老人

 雨が降って気温は上がっていないものの、湿度が高い。熱中症の危険があるのだが、老親にはそれが伝わらない。
 エアコンを入れるといつの間にか切っているし、扇風機も同様である。せめて窓を開けるのだが、すぐに閉めてしまう。
 部屋を見に行くとおいていたお茶も飲まず、蒸し暑い部屋でテレビを見ているか、じっとしている。その度に窓を開けたり、扇風機をかけたりするのだが、ものの10分くらいで締め切って扇風機も止める。
 何度言ってもわからない。認知症でもないわけだが、どうしてなのか理解ができない。ニュースで、熱中症で高齢者が亡くなっていることを知っていても、蒸し暑いところでじっとしている。きっと熱中症で亡くなっている人は老親と同じような人たちなのかもしれない。
 注意することはやめて、気が付いたら扇風機やエアコンを入れる。そんな攻防戦がつづいているのだが、私も考え方を改めた。イライラするのもバカみたいである。
 きっと、熱中症で死にたいのだろうと思うことにした。ときどきそれでもいいかと思うようになった。たぶん救急車はすぐには来ない。よく救急車のサイレンが聞こえているので、あちらこちらに出払っているのだろう。私が買い物に行っている間に倒れているかもしれないが、まあそれでも仕方がないと思うようになった。自己管理ができなくなっていく人間のお手本として学ばさせてもらっている。

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