巧妙な奴ら

 見ないふりをしていたが、さすがに伸びてきた。それは雑草である。雑草という名の植物はない、ということをテレビドラマで言っていたようであるが、植物の名前を覚えられない者としてはやはり雑草である。
 花壇の前の通路側にジャンジャン伸び始め、雨を受けてさらに勢いを増した。見た目がとても悪い。手入れをしていないほったらかしの庭になっている。
 しょうがないので、曇りのうちに草抜きをすることにした。帽子をかぶり、長袖のシャツを着て長靴を履き、手にはゴム手袋とアームカバーである。
 いざ抜こうとして、奴ら(雑草)も巧妙になっていることに気づいた。抜きにくいように地べたに這いつくばるように伸びている。根っこがあっても茎が所々地中に埋まっているので、まるで蔓上の植物である。しかも細いので、ゴム手袋をしているとさらに抜きにくいのである。
 おのれ~という感じで、方法転換である。鍬を持ち出し、耕すようにして土をひっくり返した。そして熊手の箒でガリガリ履いて、雑草を集めた。土を払いながら雑草だけを袋に入れた。
 しかしそれでも埋まって抜きにくいものが結構ある。何としても抜かれるものか!という気合を感じるが、負けるもんか、である。
 小型の鍬でさらに掘って根っこから抜いた。もう汗だくである。そうするとガンガン二酸化炭素を発しているのか、やぶ蚊がまとわりつく。やぶ蚊もしつこく、シャツやズボンの上から刺そうとする。この辺がやめ時と思い片付けた。
 部屋の中から、草取り部分を見てみると、斑に土が掘り起こされて、短い雑草が取り残された中途半端な庭になっていた。

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