加速する介護

 毎日暑い。暑さでさらにやる気も出ない。掃除洗濯で顎から汗がしたたり落ちてくる。水分を摂るので余計に汗をかく。夏は基本的に苦手なのである。
 こんな季節の中、ケアハウスに入っている知人の高齢者は元気であろうか。と思っていたら、空き家になっている家の前に大量のごみ袋が出ていた。
 とりあえず、本人に電話をしてみたら、ケアハウスにはいないらしい。どこにいるのか聞いても、本人はそこがどこかわからない。で、入院ですかと聞いたらそうだというので、病院名を聞いたがこれまた本人がわからない。どうも近くに看護師さんがいたらしく、「ここはどこでしょうか」と尋ねる声が聞こえた。
 それでやっと病院名がわかり、別途そこに電話して面会時間を聞いた。車で30分ぐらいの山間の中のリハビリ病院である。会いに行くことにしたが、果たして私のことがわかるか不安であった。悪いことに目も不自由である。
 四人部屋の窓際で、ベッドから起きて塗り絵の最中であった。病室のほかの3人の高齢者は寝ている。私のことはわかったようで、塗り絵でもしないとやることがないと言っていた。90歳もはるかに超えているが、まあまあ会話は成立する。家族以外で見舞いに来たのは私が初めてらしい。一緒にケアハウスに入ったご主人のほうもどこかの病院に入院中らしい。
 本人は杖で歩けるようになったのでケアハウスに帰る気満々である。しかし、どうだろうか。ケアハウスは自立できている人しか入れない。
 これからが大変である。3人の子供のうち、2人は遠方に住んでいて、末っ子が面倒を見ていて、休みの日は頻繁に来るらしい。
 本人ももう自宅に帰ることはないと分かっていて、ちょっとかわいそうであった。なるべく末っ子の負担にならないようにしたいというのが彼女の願いである。
 2年前まで私の家に自力でやってきて私の両親とおしゃべりを楽しんでいた。それを思えば、階段を転がるようにあっという間に悪くなっていく。
 他人ごとではないと思いながら、病院を後にした。

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