上を向いて

　先日、きれいな三日月が出ていた。どうやら満月に向かっているらしいので、これから太くなっていくのだろう。
　秋は空が高いせいか、月も澄んで見える。下ばかり見ていてもつまらないなあと会社からの帰り道に空を見上げながら歩いていた。大学の門の前を通るのだが、私がぼーと上ばかり見ていたせいか、守衛さんが外に出てきて空を見上げた。ふっと目が合い会釈すると、向こうも会釈してくれた。
　月が美しかったり、花が見事だったりすると、万人がその感動を共有できる。その時は互いに優しい気持ちになれるような気がする。
　スーパームーンのとき、マンションの玄関で月待していたら、住人の外国人とすれ違った。不審者と思われたかもしれないが「こんばんは、今日の月は最高です」というと、その人は「こんばんは、この機会は外せないですよね」と笑って階上に去っていった。 ほとんど会話をすることがない人と月をネタにできるのも、いいお月夜のお陰である。