ブルータスお前もか

 老親は元気にしていてディサービスへ通っているので、代わりに病院に薬を取りに行っていた。ところが受診が最近ないので来てくださいということになったのは、生活習慣病の防止で数か月に一度確認するらしい。
 とはいうものの90歳近い高齢者の今更生活習慣もなかろうと思う。しかしながら医療費の削減ということなのかもしれない。
 足の不自由な親を、下手な運転の車に乗せて、狭い駐車場に停め、そこで車椅子に乗り換えさせるというのは、私にとってAランクの難度である。問題は駐車場で、古い医院なので身障者用の駐車場はない。しかも土曜日だったので、受診者も多い。
 毎回そうだが、祈るような気持ちで「止めやすいところが空いていますように」と出たとこ勝負で発進である。今回は丁度良いスペースが空いていたので、病院の車椅子を借りて駐車場で老親を乗せ換えた。
 土曜日は私と同じように高齢者の親を連れた受診が多い。面倒を見ている人が働いていると土曜日になりがちである。働いていない私が土曜日に連れていくのも悪いような気がするが、なにせもう梅雨入り間近である。雨の中での車椅子への乗り換えは困難であるゆえに、雨の季節の前ということである。
 医院内の通路も狭いのであちこち車椅子をぶつけながら受診は完了させた。親を連れてきている人同士、他人ごとではない気がしてチラチラ互いに見て「ああ、ブルータスお前もか」という心情であった。

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